近年、副業を始める人が急増しています。
副収入を得ることで、生活の安定に役立てたいと考える人は多いでしょう。
しかし、副業を始める際に頭を悩ませるのが、税金の問題です。
副業で得た収入は、一定額を超えると課税対象となります。
すると思わぬタイミングで税務署から確定申告を求められ、予期せぬ税負担が発生する可能性があります。
このため、副業を始める前に、税金の取り扱いをしっかり理解しておくことが欠かせません。
副業で得た収入に対しては、源泉徴収だけではなく、確定申告が必要となるケースが多いのが特徴です。
副業収入が年間20万円以下で、勤め先の給与所得だけで生計を立てている人は確定申告不要とされていますが、20万円を超えると確定申告が必要になります。また、勤め先の給与収入と副業収入を合計して年収が1,000万円を超えると、確定申告義務が発生します。
税金を節税する方法として効果的なのが、必要経費の控除です。
副業における必要経費とは、収入を得るために要した費用のことで、この金額を引いた額が課税対象収入となります。例えば、副業で使ったPCやソフトウェア、書籍購入費、交通費、通信費などが必要経費に該当します。
これらの経費をしっかりと計算し、控除することで、納める税金を節約できます。
必要経費の計算方法を知っておき、副業内容に応じてこまめに集計していくことがポイントです。
レシートを保存しておくなどの記録も大切です。
また、経費計算アプリを活用する方法もおすすめです。
記帳作業が簡単になる上、経費を自動集計してくれるので、税務署への申告漏れを防ぐことができます。
副業の種類によって、控除できる経費の種類と金額は異なります。
例えば、転職活動の一環として受ける副業では、交通費や転職セミナー受講料が経費に計上できます。
一方、趣味で始める副業の場合は、経費控除の対象が限られます。
したがって、副業を選ぶ際は、税金対策も念頭に置くことをおすすめします。
経費控除の効果が大きい副業を選ぶことで、納得のいく税負担に抑えることができます。
副業内容を吟味し、自分に合った税務対策の効く副業を見つけることが大切です。
副業で税金がかかる?節税の方法を徹底解説!失敗しない副業の選び方
副業での課税について、所得税と住民税の確定申告の取り扱いを中心に詳しく説明していきましょう。
まず所得税ですが、副業で得た収入が年間20万円を超えると、確定申告の対象となります。
所得税の税率は、年収に応じて累進課税されます。
国や都道府県などの地方自治体が公共サービスや公共施設を提供できるように、さまざまな税金が設けられています。身近なものでは、消費税や所得税、固定資産税などが知られています。
税金は種類ごとに計算方法が異なり、重量などに応じて一定額を課税するものや、課税額に対して一定率を課税するものもあります。累進課税制度も、課税方式の一つです。
累進とは、数量が増えるにともなって比率が増加することです。よって、累進課税制度では課税対象額が増えるほど税率が上がります。累進課税制度での税額計算は、単純に税率をかける場合よりも複雑になることから、実務上では計算をわかりやすくするために、税率ごとの区分と控除額を示す速算表が用いられます。
マネーフォワードより
- 200万円以下の所得 :5%
- 200万円~330万円の所得:10%
- 330万円~695万円の所得:20%
- 695万円~900万円の所得:23%
- 900万円~1,800万円の所得:33%
- 1,800万円超の所得 :40%
という税率が適用されます。
例えば、副業での年収が80万円だった場合、80万円までは5%の税率が適用され、4万円の所得税がかかります。
また、住民税も副業収入の一定額からは確定申告が必要です。
住民税の税率は、所得税とは別に均一10%で算出されます。
先ほどの例で年収80万円のケースで考えると、住民税は80万円×10%= 8万円となります。
所得税と住民税の合計税額は、この場合12万円となります。
所得税も住民税も、必要経費を引いた額が課税対象額となる点に注意が必要です。
例えば、副業における必要経費が20万円だったとすると、実質的な課税対象額は年収80万円から必要経費20万円を引いた60万円と考えるべきです。
この場合の計算は、
- 所得税:60万円 × 5% = 3万円
- 住民税:60万円 × 10% = 6万円
- 合計税額 = 9万円
となり、必要経費20万円の控除によって納税額を3万円節約できます。
つまり、適切に必要経費を計上することが税負担軽減に大変有効なのです。
経費の計上方法には、実額による計上と定額による計上の2通りがあります。
実額による計上は、レシートや請求書に基づいて実際の支出額を計上する方法です。
定額計上は、副業内容に応じて定められた定額の経費を計上できる簡便な方法です。
副業の内容に応じ、実額か定額のどちらか有利な方法を選択することが大切です。
以上、所得税と住民税の副業での確定申告と、経費計上の方法について詳しく解説しました。
税制は複雑ですので、個別のケースでは専門家に相談しながら対応することをおすすめします。
副業の代表的な種類と特徴
代表的な副業には、ライター、プログラマー、私教講師などがあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ライター
ライターは、クライアントからの依頼に基づき、ウェブサイトのコンテンツやプレスリリース、商品説明などの文章を作成する副業です。
必要なスキルは文章力です。SEOを意識したwebコンテンツが書けるという点も重要です。基本的には自宅で仕事ができるのが魅力です。
必要経費としては、原稿作成用のPCやソフトウェア、図書購入費などが考えられます。インターネット接続費や通信費も経費計上できます。
相場に詳しくないと報酬で損をする可能性がある点に注意が必要です。
プログラマー
プログラマーは、主にウェブサイトやスマートフォンアプリ、業務システムなどの開発を請け負う副業です。
必要なスキルは、プログラミング言語(HTML、JavaScript、Python等)の知識です。開発環境を自前で揃える必要がある点に留意しましょう。
必要経費はPCや開発用ツール、書籍購入費のほか、学習費用などが挙げられます。
高単価の案件もある一方、相場感や交渉力が求められます。自分のスキルに見合った報酬設定が必要です。
私教講師
教講師は、個人的に学習指導を行う副業です。
主に学校の受験指導が中心ですが、習い事指導などもあります。
必要なスキルは、教える分野の知識と指導力です。
教材作成能力も必要となるでしょう。
必要経費は、教材費、移動にかかる交通費などが考えられます。
学習指導の需要は根強いため、知識と指導力があれば稼げる可能性が高い副業といえます。
このように副業の種類によって特徴は異なります。自分の知識・スキルと必要経費を考慮し、税負担も抑えられる副業を選ぶ眼力が重要です。
副業での確定申告のタイミングとは
副業での収入に対して確定申告をするタイミングについてです。
確定申告が必要な主なケースは以下の通りです。
- 副業収入が年間20万円を超えた場合
- 給与所得と副業収入の合計が1,000万円を超えた場合
- 源泉徴収だけで納税額が不足する場合
いずれかに該当する場合は、翌年の2月末日までに確定申告を行う必要があります。
副業を始めた年の直後に申告漏れが発生しないよう、収入状況を把握しておくことが大切です。
また、税務署から確定申告書の提出を求められた場合には、1か月以内に応じる必要があります。
申告が遅れると罰金の対象となる可能性もあるため、タイミングを逃さないことが重要です。
副業収入が増えている場合は、年末調整での追徴課税に注意しましょう。
まとめ
はじめて副業を始める方のために、税金の基本ポイントをわかりやすくまとめた内容で説明します。
副業収入の計算方法
- 副業で得た収入から、副業にかかった必要経費を引いた額が課税対象となります。
- 必要経費には、副業用PCの購入費、書籍費、交通費、通信費などが該当します。
- 経費の計算方法は、領収書に基づく「実額計上」と、定められた定額を計上する「定額計上」の2通りがあります。
確定申告が必要なタイミング
- 副業収入が年間20万円を超えた時点で確定申告が必要です。
- 給与所得と副業収入を合計して年収が1000万円を超えた場合も確定申告が必要です。
- 源泉徴収だけでは納税額が足りない場合も確定申告の対象となります。
申告の期限と遅延のペナルティ
- 確定申告の期限は原則として、その年の翌年2月末日です。
- 期限から遅れると過料が科されます。1ヶ月遅れで3万円、1年遅れで5万円の罰金が一般的です。
- 税務署からの申告案内には、速やかに応じる必要があります。
以上のポイントを押さえ、適切な時期に確定申告を行いましょう。
はじめて副業をする際は、税理士等の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。